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都内散歩をしているとどうしても神社仏閣に行くことが多くなる。
これらには多くの「千社札」が貼られているが、どれもデザインが粋で、江戸っ子のエスプリを感じさせる。
少し前から、どこに行っても「井之頭・黒門」の札があることに気付き、家内とどっちが先に黒門の札を
見つけるかを競争しだす始末。
「黒門さん」がどのような人なのかどうしても知りたくなり、調べていった結果、井之頭の弁天様の
参道入口付近にお住まいと判明。
お手紙を差し上げたところ、丁寧なご返事と黒門グッヅをお送り頂いた。

お手紙で教えて頂いた歴史と自分で調べたことを「黒門特集」としてまとめました。

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お送り頂いた「黒門グッヅ」の数々
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黒 門 の こ と

黒門の由来
関東の三黒門(井之頭、上野、富士山麓)として徳川幕府からも篤く保護された由緒ある門。
昔、井之頭・弁才天への参道は四谷、新宿から現三鷹市の牟礼(当時は宿場町)を通り井之頭に至るもので、この入口の山門として建てられた。
現在は、吉祥寺方面が表と思っている人が多いが、本当はこの参道が表で吉祥寺は「裏口」。
当時は井之頭界隈では唯一「牟礼」が集落をなし、吉祥寺・三鷹などは無人地帯だったそうな。
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     これが黒門
 玉川上水・井之頭公園編を参照

黒門さんのこと
黒門さんは鳶の親方で、地域のとりまとめ役。如何にも「親方」と呼ぶにふさわしい男気のある方だ。
黒門さんは、その牟礼村のとある氏の総本家で、当主は代々「八右衛門」を名乗り、現黒門さんは21代目。
先祖は北条氏で徳川に無血で江戸城を明渡し時に、牟礼の地に移り住み400年が経つ。
先々代が黒門のそばに居を構えた。

千社札のこと
黒門さんとしては、新興の吉祥寺に井之頭入口のお株を取られ少々気分が悪い。
由緒ある「井之頭・黒門」の名前を広めるために30年ほど前から全国の神社仏閣に千社札を貼って
歩いていると言う。

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柴又帝釈天の山門 池上本門寺の経蔵 秩父6番札所・ト雲寺 長崎・平戸の光明寺
柴又帝釈天・金町 池上本門寺・馬込文士村 秋の秩父路 長崎レンタカーの旅

 

他の二黒門

上野黒門

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上野・清水堂にある黒門跡
   黒門町の由来でもある

移築

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円通寺内の黒門

kuromon_koban.jpg (2657 バイト)「黒門町」は今は「上野一、二丁目」に名前を
変え存在しない。その名残りはわずかに
「警視庁上野警察署黒門交番」に見られる。


落語界で「黒門町」と言えば、8代目 桂 文楽。黒門交番の裏手、現落語協会ビルの向かいに住んでいた。
高座で登場人物の名前が出てこず「勉強し直してまいります」と高座を降りたまま引退。去り際もあざやかな粋人であった。





正月行事のこと


 2001年のお正月に黒門さんから門松を見に来ませんか?とお誘いがあったのでお年賀がてら伺った。
 我々の良く見る 門松 と しめ飾り は、戦後の様式。
 黒門さんのお宅の門松としめ飾りは江戸時代から伝わる伝統的な作りで、今では東京では黒門さんの
 所だけになってしまったそうな。

門松:基礎部(薪を束ねたもの)や中ほどをしばってある縄ひとつにしても、その本数や結び方に意味が
  ある。
  江戸時代は7日に上部の松や竹を取り除き、松の一枝だけを基礎部の薪に挿しておいた。
  全体としては14日まで飾っておく習慣だったらしい。

しめ飾り:これもご覧の通り、ウラジロと御幣の他に干柿やエビ、萱の実、昆布、ホンダワラなど10数種の
 材料から成る珍しいもの。
 その1つ々々に意味や由来があり、細かく説明してくださった。
 但し、これだけのことを知っている同業者は他にはいないので、企業秘密としてホームページには
 載せないでくれとのこと。
 ちょっとだけ漏らすと、例えばエビは 「脱皮をして立派になる」 「見かけが具足(よろい)に似ている」
 ことから、 武士が縁起を且ついで飾り始めたのが起源。
 他の材料も謂れを聞くと「なるほど」とうなづけるものばかり。

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黒門宅門松 しめかざり黒門風 玄関のディスプレイ ご近所の門松
(黒門作)

黒門さんの意外な一面:
 風俗・習慣などの民俗学的な知識がとても豊富。
 勿論、先代から受け継いだ知識もあるが、実に良く勉強している。部屋には歴史・地理は言うに及ばず
 経済の本までビッシリ。
 団塊の世代で、まだ現役バリバリ。

 昔気質で外国なんか見向きもしないかと思ったら、既に89ヶ国を回ったとの事。中にはパタゴニア、
 ガラパゴス諸島、グリーンランド、チベットなどマニアックな地域も・・・
 千社札は海外でも好評で、おみやげ屋やレストランなどで所望されて貼って来たところもあるとか・・・
 「井之頭・黒門」の千社札が貼ってある場所はついに世界にまで広がった。
 海外旅行で「黒門」の札が貼ってあるのを見つけられた方は報告ください。
 

   以上

   最終更新日:2008年5月